【資料】2月13日の防衛省交渉の質問項目 |
<2023年2月13日 防衛省交渉質問項目>
1. 予算案には、「スタンド・オフ・ミサイルの整備」として、「イージス艦の垂直発射装置から発射可能な米国製の艦対地誘導弾を取得」として、トマホークの取得費用2,113億円が計上されている。一方、「統合防空ミサイル防衛能力」として、大気圏外で弾道ミサイルを迎撃するSM-3ブロックⅡAの取得費595億円が計上されている。(P12,P14)
トマホークは1発4億円程度で約500発購入という報道がある。SM-3ブロックⅡAは1発47億円という資料もあり、595億円では13発の購入となる。
こうした、金額の配分は、どのような想定にもとづいて、決定されたか明らかにされたい。反撃能力の整備があまりにも、偏重されていないか。
2. SM-3ブロックⅡA 595億円 P17
「弾道ミサイル防衛に使用するSM-3ブロックⅡAを取得」として595億円を計上しているが、20年度の301億円と合計すると、896億円となる。
(1)20年度予算301億円の分のミサイルは、すでに納入されているか。
(2)ⅡAの価格は36,387,000ドル(米国WEBSITE THE DRIVEの調査)、130円換算で47億3031万円であるが、これも有償軍事援助で割高のものを購入するのか。購入予定単価を明らかにされたい。
3. トマホーク取得の関連費用として、「イージス艦に搭載する関連機材の取得等」として、1,104億円が計上されている。
(1)その内容を具体的に明らかにされたい。既存のイージス艦の垂直発射装置(VLS)の改修費用が含まれているか、既存のイージス艦8隻すべてにトマホーク搭載が可能になるのかどうか、明らかにされたい。
(2)また、別途、垂直発射装置 VLS Mk41の整備費用(「予算の概要」25p)として、「対潜能力確保のため、護衛艦(FFM)の垂直発射装置(10艦分)、並びにむらさめ型およびたかなみ型の近代化改修用機材(14艦分)を取得」として、787億円が計上されているが、「近代化改修」の内容を明らかにされたい。
4. トマホークの取得について
(1)概算要求にはなかったトマホークの購入が突然、予算案に盛り込まれた理由を示されたい。
(2)2022年10月28日の読売新聞によれば、同年8月に就任した浜田防衛大臣が、トマホークの導入を決断し、対米交渉を進めたとされている。浜田大臣が対米交渉を始めたのはいつか、また米側はどこの部署になるのか。
(3)浜田大臣が対米交渉を始めた時点では、日本政府は敵基地攻撃能力(「反撃能力」)の保有を認めていない。浜田大臣による「決断」と対米交渉は、どのような法的根拠に基づいているのか。
(4)浜田大臣の決断と対米交渉の事実を岸田首相は知っていたか、また、他の閣僚や防衛副大臣・政務官、防衛事務次官、統合幕僚長は知っていたか。
(5)浜田大臣が行った対米交渉のやり取りを時系列に即して明らかにされたい。
(6)浜田防衛大臣は12月23日の記者会見で、「時期的な長さの問題から言えば、(12式を)開発していく段階において、何が起きるか分からないところもあるわけで、そういったことも踏まえて、その抑えとしてのものが必要であると、いうふうに考えたところであります」と述べている。地発型については量産費用を計上しておきながら、「何が起きるか分からない」とは理解に苦しむが、不確定要素があるなら、具体的に説明されたい。
(7)購入するトマホークは、ブロックV(飛翔距離1,852km)であるか、艦艇攻撃用のブロックVaを購入する計画はあるか。
(8)報道では、約500発のトマホークを購入するとされている。購入予定のトマホークの総数と年度ごとの購入予定数を明らかにされたい。
(8)トマホークのブロックVの価格は1,537,645ドル(米国WEBSITE THE DRIVEの調査)、130円換算で1億9989万円、約2億円である。「有償軍事援助で購入するので、米軍が兵器メーカーから購入する価格よりも高くなる」と報道されているが、これは事実ならば、税金の無駄遣いである。購入予定単価を明らかにされたい。
(9)取得したトマホークはどこの弾薬庫に保管する予定か、またトマホーク大量購入によって、弾薬庫を新設する計画はあるのか、その具体的な場所も含めて、明らかにされたい。
(10)取得したトマホークはイージス艦などに装備されるとされている。トマホークを搭載したイージス艦が配備される予定の基地名を明らかにされたい。
(11)米軍横須賀基地に配備されている米イージス艦に搭載されているトマホークの総数を把握しているか。また、そのうち、常時発射態勢に置かれているトマホークの数を把握しているか。
5. PAC-3MSEの取得費として421億円が計上されているが、単価と購入予定数を明らかにされたい。
6. SM-6の取得費として136億円が計上されている。長距離対空ミサイルと説明されてきたが、弾道ミサイルの大気圏内迎撃用として、運用する計画があるか明らかにされたい。また、米海軍はSM-6を艦対艦ミサイルとしても運用している。射程距離は約340キロメートルとする資料もある。これは沖縄島と宮古島ぐらいに離れた場所で、水上戦闘艦どうしのミサイル戦闘が可能になることを意味する。海上自衛隊にも艦対艦ミサイルとしての運用計画があるかも明らかにされたい。また、SM-6はすべて護衛艦に搭載するものかどうか明らかにされたい
7. 12式地対艦誘導弾能力向上型について
(1)開発費338億円、量産939億円が計上されている。「(地発型・艦発型・空発型)について開発を継続」とある一方で、「地発型は早期部隊配備のため量産を開始」とある。地発型は開発が完了したから、量産するのではないのか。さらに射程距離を延ばすための開発を進めるという意味か。
(2)射程距離は約1000キロと報道されているが、そうなると対地攻撃も可能になると想像される。中国や朝鮮(DPRK)からはそうした長距離攻撃が可能な護衛艦として受け止められるだろう。洋上の艦艇を攻撃するミサイルとしてしか運用しないという理解でよいか。
(3)今後の12式地対艦誘導弾能力向上型の導入予定総数と単価を明らかにされたい。
8. スタンド・オフ・ミサイルに係る国内製造態勢の拡充として1,296億円が計上されている。
(1)12式地対艦誘導弾能力(1)向上型の量産初度費、島嶼防衛用高速滑空弾の量産初度費等とあるが、「量産初度費」とは具体的に何か。量産のための製造設備の費用を防衛省が負担するという意味か。
(2)12式地対艦誘導弾能力向上型は三菱重工と契約し、島嶼防衛用高速滑空弾も要素技術は三菱重工と契約している。1,296億円を三菱重工に供与するための予算とも思われるがどうか。
9. 島嶼防衛用高速滑空弾(能力向上型)の開発 P12
2,003億円が計上されている。22年度の予算は145億円であったが、10倍以上の予算規模になった理由を明らかにされたい。「総事業費3030億円、8カ年計画」とする防衛装備庁の資料もあるが、これを前倒しして開発を急ぐということか。
10. 極超音速誘導弾 585億円が計上されている。P12
(1) 頭に「島嶼防衛用」の文字がないが、これは「反撃能力」の一つで、長射程距離の極超音速巡航ミサイル(HCM)と理解してよいか。
(2)射程距離3000kmという報道もあるが、これは事実か。
(3)また、これまで「極超音速誘導弾の要素技術の研究」として、防衛装備庁が三菱重工と下記の金額で契約しているとデータが公開されているが、これで間違いないか。
要素技術その1 2019年06月24日 56億7270万円
要素技術その2 2020年10月23日 37億5142万円
要素技術その3 2022年01月18日 66億1694万円
(4)「要素技術の研究を活用し、誘導弾システムとして成立させるため運用実証型研究を開始」とあるが、引き続き三菱重工と契約するのか、公開入札等を行うのかを明らかにされたい。
11. 弾薬の確保及び、製造設備、廃棄費用について P30
「持続性・強靭性」の項目で、「弾薬の確保」として8,283億円が計上されている。
(1)ミサイルの弾頭、砲弾等に使用されている火薬の有効期限は、5年~6年程度という情報もある。とすれば、大量の弾薬を購入した場合、安定度試験に要する要員、工数も増加するが、要員を増やすことはは検討しているか。
(2)また、例えば5年ごとに弾頭、砲弾の火薬を廃棄、新しい火薬を充填しなければならないが、その費用を考慮に入れているか。
(3)弾薬の製造態勢等の拡充 1,618億円
「スタンド・オフ・ミサイルを含む各種弾薬の確保に必要となる企業の製造ラインを拡充」とあるが、
企業が負担すべき設備投資費用を、国が負担するという意味か。
12. JSMミサイルの納入状況について
(1)2020年度予算には、
「F-35Aに搭載可能なスタンド・オフ・ミサイル(JSM) を取得」として136億円が計上されているが、このミサイルは、日本に納入されたか。納入されていない場合はその理由を明らかにされたい。
(2)23年度予算にはJSMの取得費用として347億円が計上されているが、納期はいつを想定しているか明らかにされたい。
13. 馬毛島工事について
(1)22年度当初予算には「空母艦載機の移駐等のための事業(3,183億円)-馬毛島における滑走路、駐機場にかかわる施設整備等」として、3,183億円が計上された。22年度補正予算では、「馬毛島における係留施設等、滑走路等に係る施設整備等」として、さらに2,179億円が計上された。合計5,362億円となる。22年1月までに契約した工事等について、その内容と金額を明らかにされたい。
(2)また、23年度予算に計上された3030億円の主要な使途を明らかにされたい。また、陸上に設置する模擬艦橋・甲板施設の建造費が含まれているかどうか明らかにされたい。
14. 装備品の維持整備 2兆355億円 P26
これだけの巨額なのに、内訳の明示がないのは遺憾である。
(1)陸自、海自、空自、共同の部隊、それぞれについて、維持整備費用を航空機、艦艇、車両、その他に分けて予算額を示されたい。
(2)「部品不足による非可動を局限」とあるが、22年度まで部品不足により稼働できていない機種とその機数を明らかにされたい。
15. 防衛装備移転推進のための基金・補助金 400億円
これは、兵器の輸出が決まった時に、企業に補助金を出すという使い方をするのか。それとも、輸出促進のための取り組みにも補助金を出すという使い方をするのか、明らかにされたい。
16. 自衛隊施設の抗たん性の向上 364億円
(1)「主要司令部等の地下化」とあるが、朝霞の陸上総隊司令部、横田の航空総隊司令部、横須賀の自衛艦隊司令部は、すでに地下にそれなりの施設があると推測されるが、建替え、地下施設の追加などの計画はあるか。
(2) 奄美大島の奄美駐屯地、瀬戸内分屯地、空自の宮古島分屯基地、石垣島駐屯地に地下司令部を建設する予定はあるか。
(3)「戦闘機用の分散パッド」とは、具体的にどのようなものか。図を示されたい。
17. 宇宙領域把握(SDA)の強化 595億円
「SDA衛星の製造を行う」とある。
防衛研究所のNIDSコメンタリー第235号は、宇宙空間の利用方法として、「今後の安全保障環境を考慮に入れた場合、部隊運用への宇宙の組み込みを一層進める必要がある。新たに防衛上の焦点となった南西諸島とその周辺海域は、本州がそのまま収まるほど広い。そのため 宇宙からの ISR により敵艦艇や上陸部隊の動向を把握し、衛星通信で陸海空の部隊の指揮・統制を行い、 衛星測位で味方部隊の測位・航法を行うことが求められる」と指摘しているが、SDA衛星はそういう利用を想定したものと理解してよいか。
18. 低軌道通信衛星コンステレーションのサービス利用 2億円
(1)どこの国のサービスを利用するのか。米国のサービスか。
(2)同235号は、「移動目標である TEL(移動式発射台) の追尾も少数の偵察衛星では観測頻度に限界があり不可能である。この点、 UAV は移動目標の追尾に適しているが、平時に他国の領空に侵入することは許容されず、有事においても 対空脅威がある中では大きな困難を伴う。従って HGV や TEL の追尾を行っていくためには、日本も低軌道衛星コンステレーションを活用していく必要がある」としているが、そうした目的のために利用するのか。
(3)日本独自の低軌道衛星コンステレーションを打上げ利用する計画があるかどうかを明らかにされたい。
19. イージス・システム搭載艦について
(1)23年度予算に、「構成品等の取得に着手」として2208億円が計上されている。この金額は最新のイージス艦「はぐろ」の建造費1730億円を大きく上回るものである。これは2隻分の費用であるかどうか、「構成品等」とは具体的に何と何であるか、それぞれの金額を明らかにされたい。イージス艦に搭載されているイージス・システムの「ベースライン」と呼ばれるコンピューターシステムの費用も含んでいるのかも明らかにされたい。
(2)他の護衛艦、たとえば、「護衛艦(FFM)の建造(2隻:1,167億円)」と計上されているのに、イージス・システム搭載艦だけが「構成品等の取得」となっているのか、その理由を説明されたい。新聞報道によれば昨秋、全長210メートルの巨艦と報道されたが、その後、既存のイージス艦程度まで小型化するとの報道があった。そもそも仕様は決定されているか。決定されていれば、全長、基準排水量、満載排水量、最高速度、乗員数、兵装などを明らかにされたい。
(3)浜田防衛大臣は12月18日の記者会見で、「本日、「あるべき方策」として、イージス・システムの搭載艦2隻を整備すること。同艦は海上自衛隊が保持すること。また同艦に付加する機能、設計上の工夫等を含む詳細について、引き続き検討を実施し、必要な措置を講ずること、こういうことでございますが、我々として今般の閣議決定を基にですね、イージス・システム搭載艦に係る運用構想の詳細、搭載機能、艦の設計、要員確保等について、引き続き米政府、また日米の民間事業者を交えて、鋭意検討を進めてまいりたいと思います」と述べている。
これは、注意深く読めば12月18日の時点で、仕様は決定されていないとも読める。決定されていないのに、2208億円を計上するやり方は国民を愚弄するものではないか。重ねてお伺いする。イージス・システム搭載艦の仕様は決定されているのかどうか明らかにされたい。
(4)22年度予算には、「イージス・システム搭載艦に搭載するレーダー(SPY-7)の洋上仕様変更」の費用として58億円が計上されているが、この仕様変更は実行されたか、実行した場合、実際の経費の金額を明らかにされたい。
(5)完成までの建造費の総額を明らかにされたい、また、完成後もレーダー(SPY-7)のメンテ費用なども発生するのかどうかも明らかにされたい。
(6) これまでに使った費用の確認。
2020年6月30日付小西洋之議員の質問主意書に対する答弁書によれば、イージスアショアにかかった経費は、
2017年度 米側からの各種情報に係る経費 米国政府に27億円支払い済み。
2018年度 基本設計に係る経費 日本工営・山下設計共同体に4億円支払い済み。
この2点は支払い済みであるが、
2019年度 レーダーを除く陸上配備型イージス・システム本体の取得に係る経費 米国政府と1382億円で契約、97億円支払い済み
とあるが、この契約はその後どうなっているか。解約したのか、違約金の支払いなどはあったか、明らかにされたい。
レーダーの取得に係る経費 三菱商事と350億円で契約、65億円支払いとあるが、その後、支払いは完了しているか。これは、レーダー2台分の費用か。
レーダーのメンテナンスにかかわる費用などの契約は別途あるかどうか明らかにされたい。
2020年度 垂直発射装置の取得に係る経費 115億円、未契約、とあるが、これは未契約のままで、契約の予定はないということでよいか。
20. 「防衛力整備計画」(12月16日閣議決定)について
(1)別表2には何の説明もないが、27年度末までの調達・整備目標であるとの理解でよいか。
(2)別表2には、空中給油・輸送機(KC-46A等) 13機とある。これまでの発注実績を見ると、
2017年1機、18年2機、20年4機の購入予算が計上されている。これら6機はすべて納品されているか。納品されていない場合は、納入予定日を明らかにされたい。
(3)この6機と合わせ、2027年度末までに19機態勢とするということか。
(4)KC-46Aは米ボーイング社製で、航続距離約9,600km、最大燃料搭載量は約94トン、最大輸送人員は114人となっている。19機をフルに運用した場合、2166人の兵員輸送が可能であるが、「専守防衛を維持する
とあるのに、これだけの航空輸送力が必要な理由を説明されたい。
(5)輸送機C-2 2機 597億円 別表2には6機とある。
21年度までに17機の予算が計上されているが、これらはすべて納品されているか。未納の機があれば納入予定日を明らかにされたい。これまでの17機とあわせ、2027年度末までに23機態勢とするということか。
(6)川崎重工製で、航続距離約7,600km、最大搭載重量は30トンとなっている。22年11月の日米共同統合演習ではC-2で、与那国島まで16式機動戦闘車(26トン)を1輌空輸した。今後もこうした戦闘車両の空輸を想定しているか。
(7)固定翼哨戒機(P-1) 19機
P-1の増勢に伴い、現在使用しているP-3C哨戒機は、順次除籍されるものと想定されるがその計画を明らかにされたい。
(8)スタンド・オフ電子戦機 1機
どうして1機なのか、理由を説明されたい。通常、メンテナンスと修理の期間を考慮すれば2機以上となるのではないか。初号機を運用して見て、設計変更、仕様変更を予定しているのか。28年度以降にも製造する計画があるか。
(9)戦闘機(F-35A) 40機
22年度までに購入した55機と合わせ、27年度までに95機とするということか。配備先は全機、青森県の空自・三沢基地か。
(10)戦闘機(F-35B) 25機
22年度までに購入した12機と合わせ、27年度までに37機とするということか。「いずも」型護衛艦の最大搭載機数の14機×2隻(「いずも」、「かが」)計28機を上回るがどのような運用を予定しているのか、その概要を明らかにされたい。配備先は全機、宮崎県の空自・新田原基地か。
(11)電波情報収集機 3機 22年度予算には「電波情報収集機(RC-2)機体構成品の取得(46億円)」が計上されていたが、23年度予算には何も計上されていないのはなぜか。