12.9官邸前アクションへの竹信三恵子さんのメッセージ |

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税金は生活のために!
竹信三恵子
軍事費の膨張と戦争と結びつける人が多いのは当然のことです。ただ、そこで、忘れられがちなことがあります。43兆円とかGDP比2%とか言われているこの出費は、保育や介護を守るための公的資金と同じ財布から出ているということです。
「子育て支援を強化してほしい」「介護報酬を上げてほしい」という、身近で切実な要求の実現は、この軍事費の野放図な膨張を見過ごせば、絶望的になります。
これまでの経緯を見ても、軍事費は、数字だけが独り歩きし、一体、何に使われ、最終的にはいくらかかるかさえはっきりしません。まるで金額欄が白紙の小切手のようです。同じ財布の中で、このような無軌道な散財が行われれば、私たちの生活に関わるカネなど出てくるはずがありません。
つい最近まで、政治の世界では、少子高齢化や困窮者の増大などの暮らしの課題の解決のために増税をするのだ、と繰り返されていました。その舌の根も乾かないなかで、増税が、歯止めなしの軍事費の膨張に回され、「足りなければ増税だ」「いや歳出改革だ」という声が、当たり前のように語られ始めています。
「台湾有事」がどこまで現実的で、そのためにはいくらかかり、無駄な兵器の爆買いがどの程度なのか。こうした疑問には何一つ答えないままでの「歳出改革」の矛先が、福祉や教育や生活インフラのさらなる削減に向くことは想像に難くありません。
「歳出改革」をするなら、軍事費こそがその対象になるべきでしょう。
振り返れば、戦前の日本は、そうしたことの繰り返しでした。日清戦争以来、ほぼ10年ごとに起こされる戦争のたびに、国家予算の7割から8割の軍事費が支出され、平時でも3割、4割が軍事費に回されました。人々の福祉は、「家制度」の中での女性のただ働きに支えられ、ただ働き要員の確保のために、女性は投票権さえ与えられませんでした。
こうした、落語の放蕩息子のような散財に歯止めをかけ、人々の生活に公費を回させて戦後の豊かさをつくったのが憲法9条です。その9条が形骸化され続け、挙句にやってきた見境なしの軍事費の膨張は、私たちが直面している、生活危機という首吊りの足を引っ張るものです。これでは「外敵から日本を守る」前に、「生活危機」という内なる敵によって大量の死者が出かねません。
介護、子育て、教育、コロナ禍での生活苦、そうしたことに多少でも不安を抱く人はすべて、次の統一地方選で、軍事費膨張を止める候補、護憲派の候補に投票しましょう。 税金は、私たちの生活のために!