【ご報告】動画&アピール原稿:「自民党に代わる、新しい政治をつくろう!」市民連合 @10.8オンライン・アピール |

10月8日の18時30分から2時間超にわたって、市民連合主催のオンライン・アピールが行われ、私も発言しました。
https://shiminrengo.com/archives/4421
それぞれの語り口から、自公政権のあまりのひどさが多角的に浮き彫りにされ、政権交代の必要性が明確に示されたと思います。
お時間のある時に動画をご覧ください。私は愛を込めて、辛口の直球を投げ込みました。早口でしたので、アピール原稿もご一読ください。
◆アーカイブ動画
https://youtu.be/_QNYSL63fvk
(1)司会・進行:長尾詩子(安保関連法に反対するママの会)
(2)アピール
中野晃一/上智大学教授(市民連合運営委員)
飯島滋明/名古屋学院大学教授
大沢真理/東京大学名誉教授(市民連合運営委員)
高岡直子/安保法制に反対する医療・介護・福祉関係者の会
佐藤学/東京大学名誉教授(安全保障関連法案に反対する学者の会)
清水雅彦/日本体育大学教授(九条の会世話人)
金子勝/慶応大学名誉教授
菱山南帆子/許すな!憲法改悪・市民連絡会
瀬戸大作/反貧困ネットワーク事務局長
指宿昭一/弁護士(外国人労働者弁護団代表)
町田ひろみ(安保関連法に反対するママの会)
三浦まり/上智大学教授
前川喜平/元文部科学事務次官
黒澤いつき/明日の自由を守る若手弁護士の会(あすわか)
高山佳奈子/京都大学教授
杉原浩司/武器取引反対ネットワーク(NAJAT)代表
前川喜平/元文部科学事務次官
(3)市民連合からの提起
山口二郎・法政大学教授(市民連合運営委員)
【杉原のアピールです】 ※動画では 2:09:42~2:15:15 です。
武器取引反対ネットワーク(NAJAT)代表の杉原浩司です。日本の軍事費を通して見えてくる市民と野党の課題を辛口でお話しします。
8月末に出された2022年度防衛予算概算要求5兆4797億円の最大の特徴は、「敵基地攻撃能力」保有の先取りであり、既成事実化です。
敵基地攻撃が可能な長距離ミサイルを積めるステルス戦闘機F35AとF35Bの導入は、前年度の6機から12機へ倍増し、購入費だけで1300億円です。三菱重工製の「12式地対艦誘導弾」の射程を当面900kmまで延ばし、艦艇や航空機からも撃てるようにする経費は379億円にのぼっています。また、高速滑空弾や極超音速ミサイルなどの新たな長距離ミサイルを開発する経費が引き続き計上されています。
こうした敵基地攻撃兵器は、「専守防衛」を踏み破る憲法違反の武器に他なりません。これらの導入は、のきなみ「島しょ防衛」、南西諸島の防衛を口実に正当化されています。
概算要求のもう一つの特徴は、武器の研究開発費の膨脹です。前年度から1141億円も増やし、約1.5倍の3257億円が計上されました。合わせて、武器の開発や輸出を担う防衛装備庁の大幅増員も要求されています。
これらは、新たな武器開発のための日本版の「軍産学複合体」づくりを狙うものです。岸田新政権は「経済安全保障」を前面に掲げ、担当大臣まで置きました。自民党の甘利幹事長こそ、「経済安保」推進の中心人物です。この間、論壇で「経済安保」を煽ってきた兼原信克・元国家安全保障局次長は、「最大の問題は日本に産官学の安全保障コミュニティがないことだ」として、日本学術会議を露骨に敵視しながら、「学術界に予算を付けても安全保障に貢献することはない。むしろ半導体育成のような産業政策にこそ予算を回すべきである」と述べています。ベンチャーを含む民間企業や大学を組み込んだ「オールジャパン体制」の構築が狙われています。
では、こうした動きに市民と立憲野党はどのように立ち向かうべきでしょうか。市民連合と野党の合意には、「平和憲法の精神に基づき、総合的な安全保障の手段を追求し、アジアにおける平和の創出のためにあらゆる外交努力を行う」とあり、方向性は支持しますが、いかにも抽象的です。また、立憲民主党の総選挙公約「平和を守るための現実的外交」には、「専守防衛に徹しつつ」とある一方で「抑止力を維持しつつ」という表現も見られ、こちらもあいまいです。
はたして政権交代のあかつきに安全保障政策はどのように変わるのでしょうか。あえて3つの問いを投げかけます。南西諸島(琉球弧)への自衛隊配備は止まるのか。敵基地攻撃能力の保有は止まるのか。そして、武器輸出は止まるのか。
いずれも、日本の「くにのかたち」に大きく関わり、東アジアの将来を左右する大問題です。
一点目の南西諸島(琉球弧)への自衛隊配備については、立憲民主党は今なお、かつての民主党政権が決めたとして、「南西シフト」に賛成しています。私たちはおととい6日、南西諸島(琉球弧)の18団体を含む全国121団体が連名した「南西諸島への自衛隊配備の中止を総選挙公約に」と求める要請書を、枝野代表ら6人の役員の事務所に提出しました。島じまの人々を戦火にさらす沖縄戦を再来させてはなりません。
来年3月半ばには、日本初の敵基地攻撃ミサイルとなるノルウェー製の長距離巡航ミサイル「JSM」が自衛隊に納入されます。敵基地攻撃能力の保有は、アメリカと共に先制攻撃を行える体制をつくるものであり、きっぱりと能力の保有自体を拒否すべきです。緊張緩和と軍縮のために、アメリカの攻撃能力をも削減させる道に進むべきです。
武器輸出については、イタリアに敗れたと見られていたインドネシア向けの三菱重工製の最新鋭護衛艦の輸出協議が、今も継続しているとの現地報道があります。露骨な攻撃型武器の輸出を許せば、歯止めはなくなります。
かつての民主党政権は、自衛隊の南西シフトに舵を切っただけでなく、武器の国際共同開発を武器輸出三原則の例外とする大幅緩和や、南スーダンへの自衛隊派遣、さらには、ジブチへの史上初の海上自衛隊基地の建設などを行った過去があります。
その痛い教訓を、立憲民主党のみならず主権者自身がしっかりと振り返り、繰り返さないための活発な議論をすべきではないでしょうか。
アフガニスタンでの20年戦争からのアメリカの無惨な撤退は、「武力で平和はつくれない」ことを改めて明らかにしました。憲法9条を持つ日本こそが、戦争を廃絶する新しい時代を切り開くべきです。
自公政権を倒すことは当然ですが、より豊かな政権交代を実現するために、市民と野党が開かれた討論を行い、未来をしっかりと準備する力をつけることが求められていると確信します。知恵と力を合わせていきましょう。