【紹介】<声明>「邦人退避」を理由とした自衛隊のアフガニスタンへの派兵に抗議する |
※8月27日に発表された「大軍拡と基地強化にNO!アクション2021」による声明を転載します。
菅義偉 内閣総理大臣殿
茂木敏充 外務大臣殿
岸信夫 防衛大臣殿
「邦人退避」を理由とした自衛隊のアフガニスタンへの派兵に抗議する
8月23日、国家安全保障会議の決定に基づき、外務大臣臨時代理の依頼を受け、岸信夫防衛相は、「在アフガニスタン・イスラム共和国邦人等の輸送の実施」命令を出しました。現地調整所を設置すると共に、航空支援集団司令官を指揮官とする邦人等輸送統合任務部隊を編成し、現地には中央即応連隊長を指揮官とする輸送隊と誘導輸送隊からなる統合任務部隊を派兵するというものです。23日には、最新鋭国産輸送機C2が美保基地から入間基地に移動し、先遣隊を搭乗させて出発。24日にはC130輸送機2機が出発。8月28日にも現地での活動を開始し、邦人だけでなく、「日本に協力してきた現地スタッフ」なども輸送すると、報じられています。
アメリカ軍が8月末までの撤退を進めるやいなや、8月15日にはタリバンが首都を制圧し、ガニ政権が崩壊しました。この急激な政権崩壊は、2003年に発足した「アフガニスタン・イスラム共和国」自体が、アメリカの軍事力に支えられた傀儡国家にすぎなかったことを物語っています。
2001年の「9・11同時多発テロ」への「報復戦争」と称して、当時ほぼ全土を実効支配していたタリバン政権下のアフガニスタンに、アメリカ軍は英軍などを引き連れて多国籍軍を編成して侵攻しました。それは、「テロ」という治安問題の当事者でないタリバンを対象とする筋違いの国家間の戦争にすり替える、国際法に反するものでした。そこでアメリカは、女性などの「人権」や「民主化」を、戦争正当化のために持ち出しました。
旧タリバン政権崩壊後、国連を侵略の既成事実を引き継ぐ道具にして新国家建設が進められました。そして、その下で、表面的には民主化と人権保障が進められてきました。しかしそれは、アメリカ軍とNATO諸国軍を中心とした国際治安支援部隊が反米・反政府勢力の掃討戦を継続することで成り立つ脆弱なものでしかありませんでした。しかも侵攻と掃討戦により、タリバンと無関係な沢山のアフガニスタン民衆が死傷しました。それが反米・反政府勢力を活性化させました。その攻撃対象となったNATO諸国軍は相次ぎ撤退し、ついに米軍も、アフガニスタン政府軍に肩代わりさせて撤退することを決めるに至りました。その結果が、今の事態です。
この二十年余の間、アフガニスタン戦争時のインド洋での給油など、日本はアメリカに加担し続けてきました。反米・反政府勢力からすれば、日本も「敵」以外の何ものでもありません。「日本に協力してきた現地スタッフ」が危険に晒されるのも、こうした日本の姿勢によるものです。しかも自衛隊が派兵されるカブール空港周辺では、銃撃事件などが起きています。「イスラム国」が実行したと声明した攻撃で、米兵やアフガニスタン人が死傷する事態も起きています。いわば今回の派兵は、敵地の戦闘地域への派兵に外なりません。それゆえ、自衛隊が戦闘当事者化し、逆に「邦人や「日本に協力した現地スタッフ」の安全を危険に晒しかねません。
今なすべきことは、アメリカと一線を画した姿勢を示してタリバンとの対話を行い、「邦人」と「日本に協力した現地スタッフ」の安全確保を要請し、自衛隊でなく、民間航空機による出国態勢を整えることです。
「邦人救出」は、侵略の口実に多々、用いられてきたものです。海外派兵専門部隊とも言われる中央即応連隊の派兵は、日本の侵略を受けた東アジア諸国からの警戒を招きかねません。さらに、外国人を対象にした退避任務は今回が初めてですが、「邦人保護」という制約を超えることは、「人道的介入」への自衛隊の参加に道を開きかねない問題性を有しています。このような点について、論議が尽くされなくてはならないはずです。にもかかわらず、国会に諮ることもなく、緊急事態だという理由で、国家安全保障会議での決定-外相による依頼、それも茂木外相外遊中ゆえに臨時代理による依頼-防衛相による命令というトップダウンで自衛隊派兵を実施することは、民主主義に反するものと言わざるを得ません。しかも、派兵部隊の人数も、携行する武器などの基本情報すら、明らかにされていません。こうした秘密主義は、文民統制に反し、旧日本軍のような暴走を招く要因になります。
以上から、自衛隊のアフガニスタン派兵に強く抗議し、撤退を求めます。
2021年8月27日
大軍拡と基地強化にNO!アクション2021
<呼びかけ団体&連絡先>
有事立法・治安弾圧を許すな!北部集会実行委員会 北部労働者法律センター気付 TEL・FAX 03-3961-0212
立川自衛隊監視テント村 TEL・FAX 042-525-9036
パトリオットミサイルはいらない!習志野基地行動実行委員会 TEL 090-3509-8732 FAX 047-456-5780
武器取引反対ネットワーク メール anti.arms.export@gmail.com TEL 090-6185-4407(杉原) ツイッター https://twitter.com/AntiArmsNAJAT Facebookページ https://www.facebook.com/AntiArmsNAJAT/