「殺すな!STOP敵基地攻撃能力 12.17国会正門前ダイ・イン」に寄せられたメッセージ |
【猿田佐世さん】
これまで、集団的自衛権の行使容認の議論でも、安保法制の議論でも、常に「日本を取り巻く安全保障環境が悪化しており・・・」という枕詞ですべてが通ってきました。しかし、それらが認められた後も一向に「日本を取り巻く安全保障環境が良くなった」という話は聞きません。そして、しばらくの後には、「さらに悪化した安全保障環境への対処を」としてさらなる「防衛力」強化の政策が提示されては、繰り返し、導入され続けてきました。これはいつまで続くのでしょうか。これが繰り返されたとしても、この地域の安全保障環境が一向に良くならないことを、そろそろ私たち日本人は認識すべきではないでしょうか。
特に現在、米中の対立が激しくなる中、日本が敵基地攻撃能力を持つことは、既に周辺諸国を巻き込んでブロック化しようとしている米中の対立をさらに悪化させます。結果、日本の安全保障環境はかえって悪化していきます。
今、日本が、この東アジア地域の安全保障環境の改善のために真っ先に行うべきは、米中両国の対立がエスカレートしないように、米中双方に対して働きかけることです。
猿田佐世 新外交イニシアティブ(ND)代表・弁護士(日・米NY州)
【櫻田憂子さん】
連帯のメッセージ
「殺すな!STOP敵基地攻撃能力12.17国会正門前ダイ・イン」に結集された皆さん!
「敵基地攻撃能力保有」に対し、ダイ・インによって抗議する皆さんのたたかいに、心からの連帯を表明します。
山口・秋田の反対運動と全国連帯の闘いによって、「イージス・アショア」配備計画を撤回することができました。しかし、イージスシステムを地上に配備することは断念したものの、政府は、その代替案としてイージス艦2隻の新造と、敵基地攻撃能力保有を検討しています。
「日米安保条約を堂々たる双務性に」していくことを政治信条とする安倍前首相は、それまで自民党政府が認めてこなかった集団的自衛権行使容認を法制化し、今また、菅首相は、「我が国は防衛に徹する」として認めてこなかった、敵基地攻撃能力保有の検討を始めています。防衛のための敵基地攻撃は先制攻撃と表裏一体であり、専守防衛の国是を蔑ろにするものです。
79年前の12月8日、真珠湾での日本軍による先制攻撃から太平洋戦争が始まり、国内外に多くの犠牲者を生み出しました。その反省を忘れ、憲法よりも自分の政治信条を優先し、人の命を蔑ろにするような愚か者たちは、政権の場から退陣すべきです。
秋田から追い返した武器が、再び誰かの命や生活を脅かすことにならないよう、共に闘っていくことをお誓いし、連帯のメッセージといたします。諦めずがんばり続けましょう。
2020年12月17日
秋田県平和センター副代表
(STOPイージス!秋田フォーラム代表)
櫻田 憂子
【前田佐和子さん】
九州から台湾まで連なる南西諸島に軍事基地が作られ、陸上自衛隊のミサイル部隊が続々と配備されていることをご存知ですか? どの島でも、貴重な生態系が破壊され、住民が激しく抵抗しています。種子島のすぐ隣にある馬毛島にも、米軍の空母艦載機の離着陸訓練場が作られようとしています。「敵に占領された島々」を奪還するという「島嶼防衛戦争」なるものが叫ばれているのです。
政府や軍需産業は、島嶼防衛用高速滑空弾と呼ばれ、マッハ7で飛行する極超音速兵器を開発しています。石垣島や宮古島に配備され、 “敵艦隊”の上陸を阻止するというものです。さらに、ジェットエンジンを搭載した極超音速誘導弾も開発されていて、JAXA(宇宙航空研究開発機構)や岡山大学、東海大学がエンジン開発に関わっています。今後、東アジアの紛争に、敵基地攻撃兵器として使われる危険性があります。
ミサイルや極超音速兵器は、複数の衛星からの電波を受信して自分の位置を測り、標的に向かって自律飛行する兵器です。日本の「みちびき」はそのための衛星です。現在、4機ですが2023年には7機の体制になります。島々には、衛星を地上管制するアンテナが建てられています。ミサイルや高速滑空弾が配備される島嶼防衛戦争は、宇宙軍拡と密接に関係しているのです。
今年5月には宇宙専門部隊が航空自衛隊のなかに新編されました。アメリカでは昨年、宇宙軍が発足しています。ここでも緊密な日米の軍事協力が約束されています。今後、南西諸島は新型兵器の実験場とされ、その先は宇宙戦争への道につながっているのです。
前田佐和子(元京都女子大学教授・宇宙科学)
【長野広美さん】
鹿児島県は全国有数の離島県である。その南北に長い県域の中央に位置する馬毛島は、国内及び国際航空路そして航路のルートで最もにぎわう地点でもある。そこに、恒久施設として米軍のタッチアンドゴー訓練(FCLP)を真夜中午前3時まで行い、また、陸・海・空自衛隊による最新ジェット戦闘機、オスプレイ、輸送艦、哨戒機、PAC-3など、あらゆる訓練が想定される施設整備を、地元合意無しに強行しようとしているのが、首相官邸主導の防衛省である。
そもそも、この土地はかつて平和相銀による政治家への闇献金問題、金屛風事件など、昭和時代から国家プロジェクトと権力抗争に翻弄されてきた。多額の抵当権が残された言わば焦げ付き不動産の象徴だった島を、地上げ屋である個人事業者に購入させ、評価額をはるかに超えた160億円の買収価格を支払うことの、妥当性はもとより、説明責任すら国は持ち合わせていない。
今、改めて問う。個人事業者が違法開発を繰り返したことを反故にし、不当価格で土地を取得し、地元首長及び議会が明確に反対を表明している馬毛島への軍事施設建設は、この国が暴走しているのであって、それを国民は許すべきではない。
2020年12月17日
馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会幹事/馬毛島の自然を守る会
長野広美
【市川平さん】
STOP敵基地攻撃能力12.17国会正門前ダイ・インにお集まりの皆さん、「非核市民宣言運動・ヨコスカ」「ヨコスカ平和船団」の市川平といいます。
危険な敵基地攻撃は侵略そのものであり、自衛隊が持とうとしている長距離巡航ミサイル、ジャズムER・ロラズム、ノルウェー製のJSM等の取得は必ず先制攻撃に道を開くものです。
横須賀を母港とする米軍イージス艦「ファィフ」「バンカーヒル」は1991年の湾岸戦争開始時「砂漠の嵐作戦」で、また「カウペンス」「ジョン・S・マケイン」は2003年のイラク戦争開始時「イラクの自由作戦」でトマホークミサイルを発射し、敵基地攻撃・先制攻撃を行い、戦争を始めました。現在でも横須賀を母港とする米軍艦船だけで推定400発のトマホークミサイルを配備しています。長距離巡航ミサイルの取得は先制攻撃を行う武器であり、米軍の戦争がそのことを教えています。
残念ながら自衛隊は先制攻撃できる能力を既に持っているか持ちつつあるのが現状です。多くの皆さんがその危険性を指摘しているヘリ空母「いずも」「かが」の空母への改修、F35戦闘機147機の配備、長距離巡航ミサイルの取得、加えてイージス艦「まや」、来年就役予定の「はぐろ」は共同交戦能力(CEC)を搭載し、米軍との情報を瞬時に共有でき、その情報を基に攻撃できる軍事一体化が進んでいます。
昨年の5月28日、トランプ大統領が横須賀を訪れ、安倍首相とヘリ空母「かが」の艦内で「広範な脅威に対抗する」と日米軍事一体化を宣言しましたが、自衛隊は米軍の先制攻撃に加担し、将来はその後を追うでしょう。空母に改修された「いずも」や「かが」がF35B戦闘機を乗せて日本版空母機動部隊を編成し、砲艦外交を展開しようとしていることは明らかです。
イギリス空母クイーン・エリザベスが日本近海に派遣されるとの報道がありますが、対中脅威を煽り立てて各国との準軍事同盟を築きつつあります。軍事ではない平和の声を上げましょう。今後とも皆様と手を携えて反対していきます。
【岡真理さん】
パレスチナの西岸地区とガザ地区は、半世紀以上にわたり、イスラエルの軍事占領下にあります。さらに、ガザ地区は、イスラエルによって完全封鎖されています。封鎖は今年で14年目です。14年にわたり、ガザのパレスチナ人は、小さなガザに閉じ込められて、人間らしく自由に生きることを禁じられているのです。そして3度(みたび)にわたるイスラエルの大規模軍事攻撃では、ミサイルによって数千もの人々が命を奪われ、家々は瓦礫の山になりました。
私たちが望むのは、ミサイルでも、戦闘機でもありません。人間から自由を奪い、人間らしい生を奪い、人間の尊厳を否定する者たちと同盟することでもありません。私たちが願うのは、ガザで、パレスチナで、この地上で、そこに生きるすべての者たちが、自由に、安らかに、人間の生を謳歌できるようになること、そして、そのために闘っている世界じゅうの人々とともに、私たちもまた闘うことです。戦争を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を、この地上に永久化しようとしている世界のなかで、平和を求める諸国民とともに闘うことが、私たちの責務だと信じています。
岡 真理(京都大学教授・アラブ文学)
※1枚目の写真は金浦蜜鷹さんが撮影されたものです。