【会見報告】森田知事に対する公開質問状への「回答」についての私たちの見解 |





このタイミングで公開質問状を提出したのは、昨年11月に日本初となる総合武器見本市として開催された「DSEI Japan」が、来年2021年5月19日から再開催しようと幕張メッセを「仮押さえ」しており、1年前となる今年5月19日から本契約を結ぶことが可能となるからです。
驚くべきことに、そもそも質問状本体が知事まで届いておらず、商工労働部経済政策課の担当室長が締め切り間際になって代行した形でした。
米ロッキード・マーチンやレイセオン、英BAEシステムズやイスラエルのラファエルなどの戦争犯罪企業、核兵器製造企業が公然と出展するにもかかわらず、県は事前も事後もノーチェック。武器見本市への貸し出しは「戦争という手段によらずに紛争を解決する道を追求する」と明記した「非核平和千葉県宣言」と両立するのか、の問いにも答えず。数多く寄せられた署名やハガキについても、「様々なお考えがある」とごまかす。不誠実極まりない答えのオンパレードでした。
会見でママの会の一人は、「武器見本市の先には残酷な世界が広がっている。人間として許されない」と訴え。5月14日午後に千葉県に提出する反対署名に付されたコメントの一部も紹介されました。なんとしても、武器見本市の開催を食い止めたいと思います。
◆千葉県による「回答」はこちらから
https://kosugihara.exblog.jp/240290771/
1.ネット署名を5月13日まで集めています。まだの方はぜひご協力ください。拡散もお願いします。
https://bit.ly/3ch6pk3
2.森田健作千葉県知事に抗議の声を直接届けるハガキを用意しています。 mnw.chiba@gmail.com まで必要枚数と送り先をお知らせくださればすぐにお送りします。すでにお送りになった方でも、またぜひ書いてください。
3.SNSで抗議の声を上げてください。# 武器見本市反対 などのハッシュタグをつけて投稿してください。
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<森田健作千葉県知事に対する公開質問状への「回答」についての私たちの見解>
安保関連法に反対するママの会@ちば
幕張メッセでの武器見本市に反対する会
<はじめに>
今回の公開質問状は、今まで幕張メッセでの武器見本市について明確な態度を示してこなかった森田知事の考えを直接問いただすことを目的としています。それにもかかわらず、担当部局は質問状本体を知事に見せていないようです。また、回答についても、知事が確認したのかどうか不明です。役人による事務的な代行では意味をなしません。知事の責任において誠実な回答がなされないなら、知事本人との交渉を求めるしか方法がなくなります。
<1について>
・「催事前には個別の出展企業について承知していません」とありますが、主催者のホームページに企業名が事前に公表されていました。それすら把握していなかったのは行政の著しい怠慢です。
・「催事後に復命書で出展企業の報告を受けています」とありますが、その報告を受けて、知事としてどう判断したのかが不明です。
・私たちは県への申し入れにおいて、戦争犯罪に関与したり、核兵器を製造している企業の出展への危惧を再三にわたり表明し、県に対応を求めてきました。また、2019年10月に行われた政府交渉では、「DSEI Japan」に後援を出した経産省の担当者が「残虐な兵器や国際法違反の兵器は不適切」と表明しています。それにもかかわらず事前にも事後にもチェックをしないのはあまりにも無責任かつ不誠実です。
・例えば、クラスター爆弾など国際条約で禁止されている武器が展示されていたら、国際的にも大問題になったはずです。県営施設である以上、出展企業や展示内容の事前チェックは当然のことです。
・2018年8月に川崎市営のスポーツ施設である「とどろきアリーナ」で開催されたイスラエルの軍事見本市「ISDEF JAPAN」では、会場に武器のカタログが置かれていたことが発覚し、川崎市当局がそれを撤去させました。県営施設の展示内容に県が責任を負うのは当然のことです。
・「DSEI Japan」に出展したイスラエルの軍需大手「ラファエル」の担当者は、TBS「NEWS23」の取材に「(武器の性能は)戦場で証明済み」とコメントしました。占領地パレスチナ住民の虐殺を正当化する許されない暴言であり、こうした企業の出展は禁ずるべきです。
・復命書を見ると、県職員の視察は極めて短時間であり、出展内容もチェックしていません。今後は、十分な時間をとり、カタログの収集も含めて、展示内容をしっかりと確認することを義務付けるよう求めます。
<2について>
・会場の貸し出しと「非核平和千葉県宣言」は両立するのか、という肝心の問いにまったく答えていません。
・「正当な理由」がない限り、施設の利用を拒んではならない、としていますが、県議会が決議した「非核平和千葉県宣言」は十分に「正当な理由」たり得ていると思います。
・5月4日の共同通信によれば、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の三大メガバンク、ゆうちょ銀行を含む国内の16銀行が核兵器を運搬するミサイル製造などに携わる企業への投資や融資を自制する指針を定めていることが判明しました。こうした企業の武器見本市への出展を容認している千葉県の姿勢が厳しく問われていると考えます。
<3、4について>
・県民・市民の恣意的な入場拒否について、「知事は」「承知していません」としていますが、私たちからは開催前に県に対して県民、市民の入場を認めるように要請を行っております。よって、県として事前に確認しておくべき事項のはずです。県有の公共施設であり、希望する県民・市民の入場を認めることが大前提だと考えます。しかも、防衛省・自衛隊が出展しており、税金の使い道を監視する意味でも市民の入場は拒否されてはなりません。また、質問5・6にも関係しますが、このような不当な入場規制を行う主催者に県有施設を貸し出すことはあってはならず、現段階で同主催者との間で交わされている、来年5月19日~21日の「仮押さえ」は白紙に戻すべきだと考えます。
<5、6について>
・主催者からは「誤って入場させた」との説明はなく、問答無用で一方的に、警備員を動員した強制的な排除がなされました。
<7、8について>
・「日本国憲法の一部改正」との誤った記述をいつ把握したのかが不明です。また、私たちが指摘するまで、県が誤記の事実を把握しておらず、早期に指導を行わなかったことも問題です。
<9~12について>
・知事には「概要」のみしか報告をしておらず、県民・市民の声を正しく伝えていません。知事にはすべてのハガキと署名コメントに目を通すよう求めます。
・知事に示した「概要」とはどのようなものか、また、それを見た知事の感想についても、私たちに正確に伝えるべきだと考えます。
・「様々なお考えがあることを承知している」とありますが、「武器見本市を開催すべき」という声が知事の下には果たして届いているのでしょうか。一部の利権に絡む声ではなく、市民、県民の声としてです。仮にそれらがあるのだとして、では私たちの「武器見本市に県有施設を貸し出すべきではない」との多くの市民、県民の声に背を向ける理由が答えられていません。
<13について>
・この質問状の鑑文でも言及しておりますが、幕張メッセは、新型コロナ感染症における医療施設として使用されようとしています。県有施設を命を救うために役立てることに大いに賛同します。非核平和千葉県宣言に反し、命を奪う武器取引を促進する武器見本市に県有施設を貸すことはきっぱりとやめるべき時です。
<おわりに>
本公開質問状は知事宛にもかかわらず知事の手を経ることなく回答がなされているという大きな問題もさることながら、担当部署の回答としてもまさに「木で鼻をくくった」ような回答です。
それは市民、県民の声に向き合う誠実性の欠如というものだけでなく、やはり、武器見本市に県有施設を貸し出せるだけの正当な理由がないことに因があると考えます。
「前文」や9条に代表される日本国憲法の平和主義、「非核平和千葉県宣言」の精神に拠った県政を私たちは森田健作千葉県知事、および千葉県に望みます。

