幕張メッセでの武器見本市の開催についての公開質問状と千葉県の「回答」 |




昨年11月に日本初となる総合武器見本市として開催された「DSEI Japan」が、来年2021年5月19日から再開催しようと幕張メッセを「仮押さえ」しており、1年前となる今年5月19日から本契約を結ぶことが可能となるからです。
4月末の締め切りを少し過ぎた5月1日昼過ぎに、千葉県から「回答」が届きました。以下に質問と合わせて掲載します。
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【公開質問状】幕張メッセでの武器見本市の開催について および千葉県の「回答」
昨年11月に幕張メッセで開催された「DSEI Japan」の出展企業には、国際的な非難の的となっている悪名高い「死の商人」がいくつも含まれています。国連人権理事会が設置した専門家グループは、昨年9月3日に公表したイエメン内戦に関する報告書で、米英仏など第三国による内戦当事者への「合法性の疑わしい」継続的な武器輸出が、「紛争と人々の苦難を長引かせている」と批判しました。ロッキード・マーチン、レイセオンやBAEシステムズは、イエメンへの無差別空爆を続けるサウジアラビアに武器を供給しています。また、これらの企業は核兵器製造企業として、投資引き揚げの対象にもなっています。さらに、ジェネラル・アトミクスは、民間人を巻き添えにした米国の無人機戦争で多用されている無人攻撃機「プレデター」などを製造しています。エルビット・システムズ、IAI、ラファエルは、イスラエルによるパレスチナ人の虐殺に関与しています。こうした国際人道法違反に関わる軍需企業に商機を提供することは、供給された武器による戦争犯罪への共犯者となることに等しいと考えます。
1.知事は、戦争犯罪に関与したり、核兵器を製造している軍需企業が出展するという事実を認識していましたか? 認識されていた場合、いつどのようにしてそれを知りましたか?
【県】催事前には個別の出展企業について承知していません。催事後に復命書で出展企業の報告を受けています。
1994年10月に千葉県議会が決議した「非核平和千葉県宣言」は、「戦争という手段によらずに紛争を解決する道を追求するものである」と明記し、「核兵器の廃絶と世界の恒久平和という悲願」の実現を強調しています。戦争犯罪に関与したり、核兵器を製造する企業が出展する武器見本市に県の施設を貸し出すことは、「非核平和千葉県宣言」に明らかに矛盾していると考えます。
2.知事は会場の貸し出しと「宣言」は両立すると考えますか? また、その理由もお示しください。
【県】幕張メッセ国際展示場は、地方自治法第244条第1項に規定された公の施設であり、同条第2項の規定により「正当な理由」がない限り、施設の利用を拒んではならないとされているところです。国際展示場の利用承認の可否については、地方自治法及び当該施設の設置管理条例の規定に即して判断しています。
「DSEI Japan」はホームページに入場登録申請のフォームを作りながら、何ら具体的な基準を示すことなく、恣意的に多くの県民、市民の入場を拒否しました。入場者を恣意的に選別することは、県営の公共施設のあり方として明らかに不適切です。
3.知事はこの事実を知っていましたか? 知っていた場合、いつ知りましたか?
【県】承知していません。
4.こうした主催者は県営施設の利用者としてふさわしくないと考えますが、知事の考えをその理由も含めて教えてください。
【県】上記の事実は承知していませんが、個別の催事等の管理・運営は、入退場管理を含めて、利用規約に基づき、主催者が行うものであると考えています。
昨年の開催期間中、初日の11月18日に当日登録を済ませて入場した市民が、20日に再び入場して展示を見ていたところ、突然、「DSEI Japan」の日本側主催者である「クライシス・インテリジェンス社」の浅利眞・代表取締役の指示によって、理由も示すことなく警備員に暴力的に排除されました。
5.知事はこの事実を知っていましたか? 知っていた場合、いつどのようにして知りましたか?
6.県営施設で行われたこうした暴挙について、知事として浅利氏に再発防止も含めた厳正な指導を行うべきと考えますが、いかがでしょうか? 理由も含めてお答えください。
【県】県及び施設管理者である株式会社幕張メッセは、現地では直接確認しておりませんが、展示会終了後、株式会社幕張メッセを通じ主催者に確認したところ、主催者が誤って入場させた当該市民に対し、口頭での退去を要請したものとの報告を受けています。
「DSEI Japan」で入場者に配布された公式ガイドに掲載された主催者のクラリオン社のアレックス・ソーア氏のインタビューには「近年の日本国憲法の一部改正に伴い、軍備拡大、自衛隊の海外派遣、日本の防衛産業のより積極的な海外展開が可能になった」との明らかに誤った記述がありました。2月18日に開催された市民による防衛省との交渉において、防衛省がこの事実を事前の市民からの質問項目を見るまで把握していなかったことが明らかになりました。4月6日、衆議院決算委員会での河野防衛大臣の答弁によれば、防衛省は主催者に誤りを訂正する旨のホームページへの掲載を要請。しかし、訂正されたはずのホームページには、またしても「日本国憲法が開催された」との誤記がなされています。
7.知事は公式ガイドに「日本国憲法の一部改正」との誤った記述がなされたことを知っていましたか? 知っていた場合、いつどのようにして知りましたか?
【県】主催者インタビュー欄にその旨の掲載がされていたことは承知しています。
8.また、知っていた場合、県として主催者に厳重注意や訂正する旨のホームページ掲載の要請などを伝えましたか?
【県】御指摘があったことについて、株式会社幕張メッセを通じて主催者に確認したところ誤訳であるとの報告を受けています。なお、これについては、主催者ホームページで訂正が公表されています。
知事あてにこの間、「幕張メッセをもう二度と武器見本市に貸し出さないでください」とのハガキが数多く届いているかと思います。
9.知事はそれらに目を通されましたか?
10.また、目を通されていた場合、感想を教えてください。
【県】担当部局で確認し、その概要を知事に報告しています。本催事について、様々なお考えがあることは承知しています。
知事あてに、幕張メッセを武器見本市に貸し出さないように求める22000筆を超える署名が千葉県内外から寄せられ、既に届けられているかと思います。
11.知事はそれらの署名に付されたコメントに目を通しましたか?
12.多数の署名が寄せられていることについて、また、コメントに目を通された場合はそれについても含めて、感想を教えてください。
【県】担当部局で確認し、その概要を知事に報告しています。本催事について、様々なお考えがあることは承知しています。
13.「DSEI Japan」の主催者は、来年2021年5月19日から21日に再び幕張メッセでの開催を予告しています。今まで述べてきた様々な理由から、私たちは幕張メッセを「DSEI Japan」をはじめとする武器見本市に貸し出すべきではないと考えます。本契約の手続きは1年前の5月19日からですが、知事は今回「DSEI Japan」への貸し出しをきっぱりと拒否すべきと考えます。いかがでしょうか?
【県】国際展示場の利用承認の可否については、地方自治法及び当該施設の設置管理条例の規定に即し、判断してまいります。