【要請書】新型インフル特措法改定案に賛成しないでください! |
安倍首相の強権を拡大する
「新型インフル等対策特措法」改定案に衆議院本会議で「賛成」しないでください!
安倍政権による危険な「緊急事態宣言」に道を開く「新型インフルエンザ等対策特措法」改定案が、3月11日の衆議院内閣委員会で共産党以外の賛成多数で可決されました。
開始・延長の際の「国会の事前承認」、国会の議決による終了措置などの重要な修正要求を下ろし、「国会への事前報告」の盛りこみを、条文修正でなく付帯決議という低レベルで妥協した共同会派「立国社」の責任は大きいと思います。付帯決議でやったふりをするのは怠慢です。2012年、民主党政権による同法制定時の付帯決議もたなざらしになり、
「3年後の見直し」も実現されませんでした。この妥協は安倍政権への事実上のアシストではないでしょうか。
私自身は、本来なら「緊急事態宣言」条項の削除こそ必要だと思いますが、百歩譲っても、国会の事前承認はあくまで最低条件だったはずです。さらに、期間の上限の2年から3カ月(ないし6カ月)への短縮、集会の自由を制限するあいまいな要件(45条2項)や報道・言論の自由を侵害しかねない条項(33条1項)の削除、不必要だった私権制約措置の無効化と救済措置(損害賠償など)の明確化など、抜本的な修正案を提出してほしかったと思います。
たとえ、それが多数与党により否決されるにしても、メディアや市民に向けて、重大な論点を明らかにするという意義があるはずでした。そのことは、たとえ安倍首相が「緊急事態宣言」を発したとしても、その後の濫用を制限することに確かにつながるものだからです。
今回のあまりにも安易な妥協は、はっきり言えばかつての「大政翼賛会」への道です。いったい何を忖度しているのでしょうか。自己保身のつもりが、自らの最も大切な魂を売り渡すことにならないでしょうか。ここで踏みとどまれなければ、歴史的な検証には到底耐えられないと思います。
今、求められているのは、混乱を拡大し人権を制限する「緊急事態宣言」ではなく、検査の拡大や感染状況の正確な把握と情報公開、感染者に対する治療体制の確立、必要物資の普及、休業補償や財政支援の充実などです。
まだぎりぎり間に合います。どうか、12日の衆議院本会議で「賛成」しないでください。波風を立ててください。自立した個として、良心にしたがって行動してください。あなたを信頼してきた人々を裏切らないでください。市民のいのちと暮らしと人権を守り抜いてください。心から訴えます。
2020年3月11日 杉原浩司