『RODOJOHO』に「武器見本市に突きつけた市民の力」を寄稿 |


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武器見本市に突きつけた市民の力
杉原浩司 武器取引反対ネットワーク(NAJAT)代表
「死の商人おことわり」。6月17日、千葉県有施設である幕張メッセで開幕した武器見本市「MAST Asia」に対して、「安保関連法に反対するママの会@ちば」等の呼びかけに応えて、230人の市民がヒューマンチェーンやダイ・インによる抗議行動を展開した。
開催こそ阻止できなかったものの、武器見本市への抗議としては過去最大の規模になり、11月に予定されている「DSEI JAPAN」への強い牽制となったことは確実だ。
そもそも、戦争しないと誓った憲法9条を持つ日本で、武器見本市が開かれること自体がおかしい。これは、安保法制の成立や武器輸出の解禁、最近では長距離巡航ミサイルや空母の保有と同様に、"先取り改憲"の一環でもあるだろう。
先日の香港での大規模デモの弾圧に使用された催涙ガスは、英国製だという。英国は人権侵害国家であるサウジアラビアなどにも催涙ガスや武器を輸出している。弾圧や殺傷に使われる道具を売りつけて利益をあげる企業活動は、本来なら許されるべきではない。まして、武器輸出を「国策」に位置付け、成長戦略にすることは、倫理的な退廃を絵に描いたようなものではないか。
幸い、武器輸出は失敗続きでろくな実績はあがっていない。最近は、武器爆買いが問題視されるようになった。これも、血税を「死の商人」に貢ぎ、社会保障や教育をないがしろにする点で罪深い。
香港の人々が示したように、市民が立ち上がることこそが政治を変える原動力だ。市民連合と野党の共通政策にも「武器爆買いの見直し」が入った。「武器より暮らしを」と全力で叫ぶ時が来ている。