【要求書全文】イスラエル軍事見本市反対!川崎市申し入れ |


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【要求書】
川崎市長 福田紀彦様
イスラエル軍事見本市へのとどろきアリーナの利用許可を取り消してください
川崎市とどろきアリーナで8月29・30日、東京五輪を商機とにらんだ「ISDEF JAPAN」(イスラエル防衛&国土安全保障エキスポ)が開催される予定です。私たちはイスラエルによる軍事見本市に川崎市が公共施設の利用許可を出したことに驚き、強い危機感を覚えています。
2014年4月1日に安倍政権が武器輸出三原則を撤廃して以降、憲法9条を保持する日本で公然と武器見本市が行われるようになりました。今まで、横浜や有明、幕張などで大規模な国際武器見本市が開催されてきましたが、イスラエルによる軍事見本市は初めてのことです。
イスラエルは、1948年の建国以来、戦争を繰り返し、今なお、国際法違反のパレスチナ占領を続け、ガザ地区の封鎖や入植地の拡大などを続けています。1993年のPLO(パレスチナ解放機構)との「オスロ合意」以降もパレスチナへの武力行使を繰り返し、おびただしい殺傷と破壊を積み重ねてきました。最近では、3月30日から開始された生まれ故郷に帰る権利(帰還権)の実現を求めるパレスチナ人の非武装のデモに対して、軍部隊が銃撃を浴びせ、160人以上を虐殺し、1万6,750人を超える人々に重軽傷を負わせています。
イスラエルによる戦争犯罪、人権犯罪の横行に対して、イスラエルに対するBDS(ボイコット、投資引き揚げ、経済制裁)運動が世界各地に広がっています。川崎市当局は、この段階で利用を拒否すれば外交問題になりかねないと懸念していると伝えられています。しかし、こうしたBDSの高まりに逆行して、イスラエルの軍事見本市に公共施設を貸し出すことこそ、外交問題であり、国際的なスキャンダルではないでしょうか。
私たちが提出した公開質問状に対して、中原区地域振興課ととどろきアリーナの指定管理者は、「大規模イベント等の安全対策のブース出展であり、制限の事項に該当するものではなく、施設の利用を制限するものではない」と答えています。そして、危険物に該当する武器や関連装備の持ち込みは認めないとしています。
この姿勢は、「安全対策」「テロ対策」という錦の御旗の前に思考停止しているとしか思えません。そして、武器がなければよいというのも、あまりに表層的な認識です。問題の本質は、イスラエルが戦争犯罪を通して開発した、血塗られた機材や技術の売り込みに、川崎市が加担するのか否かという点にあります。
今回の帰還権デモに対して、イスラエルは催涙弾投下用ドローンやスマートフェンス(自動監視装置付き)などの新型兵器を投入しています。戦争と監視に境界線は存在せず、イスラエルの軍需・セキュリティー産業は一体化しています。「分離壁には無人の武装監視拠点が設置され、遠くの安全な場所にいる監視要員が、壁に近づきすぎた人間を誰でも識別して射撃する」(アンドルー・ファインスタイン著、『武器ビジネス』下巻)。「テロ・サイバー攻撃対策」の装備といえども、殺傷と抑圧を目的とする残忍な軍事システムの一環に他なりません。
川崎市は、1982年に「核兵器廃絶平和都市」を宣言しています。「多文化共生」を掲げ、ヘイトスピーチを事前規制するガイドラインの策定なども率先して進めています。よりによって川崎市が、核武装国でありアパルトヘイト(人種差別)国家であるイスラエルの軍事見本市に会場を貸し出すとは、何という矛盾でしょうか。
行政として、いったん出した利用許可を取り消すのは簡単なことではないでしょう。しかし、市民による反対の声を無視して川崎市での開催が強行されれば、歴史的汚点となることは明らかです。展示によって確かに施設は毀損されないかもしれません。しかし、行政に対する信頼が決定的に失われるばかりか、辛うじて維持されてきた日本社会の「非戦」の力も大きく蝕まれることは明らかです。利用許可取り消しの「リスク」はこうした深刻なリスクに比べれば、なんということはありません。
今からでも決して遅くはありません。パレスチナ人の命と引き替えに開発された監視技術を用いて、とどろきアリーナを利用する子どもたちと何ら変わらないパレスチナの子どもたちが、イスラエルによって命を奪われてきました。政治家である前に、人間としての想像力を働かせてほしいと思います。そして、平和と人権の重視を掲げる川崎市の首長として、歴史の判断に堪える決断をされるよう、心から訴えるものです。
2018年8月2日 川崎でのイスラエル軍事エキスポに反対する会
連絡先 電話 090-6185-4407 (杉原) メール anti_isdef@freeml.com