「武器輸出反対ネットワーク」発足にあたって |
武器輸出反対ネットワーク(Network Against Japan ArmsTrade[NAJAT])発足にあたって
二度にわたる世界戦争を経験した20世紀を経て、21世紀は平和の世紀であることを期待されていました。しかし、いま、世界は紛争や「テロ」といった暴力の連鎖に苦しんでいます。
紛争や「テロ」は、武器という存在を抜きにして語ることはできません。紛争地には、武器商人や関係国の思惑のもと大量の武器が流れ込み、対立をより非人道的で、深刻なものにしています。商品としての武器は紛争の原因ともなっているのです。
大量の武器が流入し、膨大な犠牲をうみだしたカンボジア紛争では、「あらゆる国々の武器があるが、カンボジア製のものはない」と言われました。私たちは、「日本製の武器もなかったはずだ」と言えることを、誇りに思います。
戦争を放棄し、戦力の保持を禁じた平和憲法のもと、日本は戦後70年間、軍隊が殺すことも殺されることもなく過ごしてきました。さらに、憲法は第9条2項において、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と定め、この精神のもと、日本は先進諸国の中では例外的に武器輸出を禁じてきました。それは、日本の政府やNGOが国際社会に軍縮を主張する際にも、きわめて大事な拠りどころとなってきた事実です。
しかし今、日本は、「積極的平和主義」と称して安保政策を転換している安倍政権のもと、これまで武器輸出を実質的に禁じてきた武器輸出三原則を閣議決定のみで撤廃し、新たに防衛装備移転三原則を策定しました。いま、日本は国策として武器輸出を進める国家――「死の商人国家」へと突き進もうとしています。
武器の本質とは、“人間をより効率的に殺害するための道具”であることに他なりません。私たちは、全面的な軍縮を通じて「武器のない世界」を追い求めながら、まず、自らの足もとから、武器輸出に反対するために行動します。
産業政策として武器生産をとらえることは、紛争を商機としてとらえる「死の商人」を国内に育成することになりかねません。いったん軍産複合体、「兵器ムラ」が誕生したときには、「原子力ムラ」がまさにそうであり続けているように、民主的な政策形成をさまたげ、一部の者の利害に多数の人々を犠牲にする結果を生み出すことにつながるでしょう。私たちは、産業政策として武器輸出をとらえること、また、大学や民間企業で軍事研究を奨励することに強く反対します。
「Made in Japan」を、平和産業の代名詞に。私たちはそのために「武器輸出反対ネットワーク(英名 Network Against Japan Arms Trade) 」を立ち上げ、声をあげていきます。
2015年12月17日 武器輸出反対ネットワーク