【ご紹介】高浜町長の再稼働「同意」に関する応答&抗議声明 |
東京の杉原浩司です。[転送・転載歓迎]
12月3日午前、野瀬豊高浜町長は高浜原発3、4号機の再稼働への「同意」を表明しました。同意の条件としてあげていた「原発の必要性への国民の理解」はあっさりと反古にされました。あまりにも拙速かつ無責任な対応であり、強く抗議します。
福井・高浜町長 原発再稼働に同意表明(12月3日、NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151203/k10010327991000.html
これに関して、私が12月2日に発信した以下の投稿について、福井県で長く脱原発の活動を続けてこられた山崎隆敏さんから応答がありました。
野瀬豊高浜町長に「再稼働に同意するな」の要請を!
http://kosugihara.exblog.jp/21893410/
ぜひ多くの方に読んでもらいたいと思い、ご本人の了解を得て転送します。ぜひご一読ください。
また、後半にはグリーン・アクションのアイリーン・美緒子・スミスさんが投稿された抗議声明を転送します。こちらもぜひお読みください。
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福井の山崎です
お怒りごもっともです。
ただ、高浜町の職員はすべて町長と同じ考えではありません。ポスト原発の財政運営を真面目に考えている職員もいます。
先日、中日新聞小浜支局の記者が11月22日「ニュースを問う」で「立地住民と深い対話を」を書いています。感想を求めていたので、次のように書き送りました。参考にしていただければ幸いです。
「立地住民と深い対話を」を読み、二十数年前の私たちの活動を懐かしく思い出しました。
1991年に美浜原発2号機で蒸気発生器の細管が破断し、炉心冷却水が1時間に五十数トン失われる深刻な事故が起きています。
この事故をきっかけに私たち(福井県内で脱原発の活動を行っていた少数の個人)は、それ以前から関西で脱原発活動を行っていた市民たちと「若狭ネット」を結成し、隔週の土日曜や休日に美浜町内の一軒一軒を訪ね町民と対話を重ねる活動を約半年間続けたのです。
「原発に反対して」というような一方的な「啓蒙」ではなく、原発立地に住む人たちの悩みを共有したいとの思いで対話に臨みました。その後、敦賀原発3・4号機の増設の計画が持ち上がった際にも、敦賀市内で同様の活動を行いました。
県外から多数押しかけて原発反対のデモだけで帰ってゆく運動の空しさについては、2000年ころ私は、中日新聞の取材で語ったことがあります。福井支局編「神の火は今」に収録されています。
私は、この夏に関西の大学生たちを、10月には米国人を敦賀半島の原発に案内しました。11月には、 3・11以降、脱原発運動に加わった福井の市民たちを、訪問先には名所旧跡も組み込み、原発をめぐる過去のさまざまな出来事をガイドしながら敦賀半島を一周しました。昼食の弁当も地元で購入することにしました。今回は旅程の都合上それができませんでしたが、
一昨年に関西の市民たちを案内した際には、原発停止で困っている地元のバス会社を利用しています。
運転手さんは、反原発市民であることなど嫌がらず、誰であろうとお客になってくれたことを素直に喜んでくれました。
未来永劫続くわけではない原発の後を見越しての会社運営を図らなければ、とも語っておられました。
さて、記者は「原発はもう役割を終えた、と地元でも認識されるにはどうしたらよいか」と問いかけています。
私は、都市の人たちから「こんなにたくさんの原発を作らせてけしからん」と叱られることがあるが、原発に関する情報が今日ほど多くなかった中でさえ、決して唯唯諾諾と受け入れてきたわけではないこと、
たとえば原発を立地している美浜町の丹生という小さな集落でも、約60年前の誘致計画の段階で、反対する住民が半数はいたという事実を伝えています。
歴史に「もしも」という仮定は許されないが、もしも今日のような全国的な脱原発の世論が味方についていたら、原発が誘致されることはなかったであろう、と。
敦賀原発1号機と隣の美浜原発1号機の運転開始が1970年。
運転を始めてすぐに放射能漏れが起き、事故隠しや燃料棒の折損事故などトラブル続きました。こうした先例を見てそれを他山の石とした他県の後発の計画地では反対運動が強くなり次々と計画が頓挫していったのです。
私は立地自治体の住民の皆さんに次のように提案しています。
たとえ原発を運転再開しても、使用済み核燃料がプールに満杯となり燃料交換ができず運転不能となる日が目前に迫っています。原発は余命数年の宣告を受けているに等しい状況なのです。苦しみを少し先延ばししたところで原発依存したくてもできなくなる日の到来は間近です。今だからこそ、反原発の世論を味方にして、原発の廃止に伴う痛みの緩和策を政府に訴えることができるのです。このまま運転を進めて、燃料交換ができず運転不能となっても、反原発の世論はそれを歓迎するだけで、皆さんの運命など忘れてしまいます。
私たちはそんなことにならないようにしたいのです。
山崎隆敏
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<以下、転送です。>
皆さま
高浜町から書いているグリーン・アクションのアイリーン・美緒子・スミスです。
高浜町議会本会議の冒頭の野瀬町長の無責任な「再稼動について理解をすると判断いたしました」の発言を、高浜町、おおい町、小浜市、福井市、南丹市の市民と傍聴席から聞きました。傍聴券を配る時間はとても保育園に子どもを預けてからこれる時間でなかったので、舞鶴市のMさんは本当に残念だと傍聴を断念しました。
☆☆以下、転送転載歓迎です。☆☆
抗議声明は、京都府下の30キロ圏市町住民有志(全て京都府下7市町である伊根町・舞鶴市・宮津市・綾部市・京丹波町・南丹市・福知山市民の有志)と京都市民有志、そして避難計画を案ずる関西連絡会(広域避難先である関西一円の市民)が発行しています。
抗 議 声 明
高浜町長の原発再稼働同意表明は断じて認められない
http://greenaction-japan.org/internal/151203_takahama_kogi.pdf
以下が全文です。
抗 議 声 明
高浜町長の原発再稼働同意表明は断じて認められない
本日(12月3日)の高浜町議会において、野瀬町長は高浜原発3,4号機の再稼働に同意しました。私たちはこの同意表明にたいし、満身の怒りを持って抗議し、あくまで再稼働に反対を表明します。
福井地方裁判所は先に大飯原発の再稼働を差し止め判決、次いで今年4月、「高浜原発を運転してはならない」との画期的な仮処分決定を下しました。決定は、新規制基準に基づく国の審査に合格しても安全性はなんら確保されないと、その理由を具体的に指摘しています。しかし野瀬町長は司法判断に耳を貸さず、国の審査に合格したことをもって安全性が確保されたと強弁し、再稼働の同意に踏み切りました。
福島事故を経験したあとでの今回の同意は、福島原発の事故によって直接間接に命を落とした人々や、いまだに10万に上る避難者、さらには後世の世代が決して許さないでしょう。
去る11月、京都府下の原発から30キロ圏にある7市町で実施された国や関電の住民説明会では、多くの会場で一般市(町)民を締め出し、所によっては会場からの質問さえ受け付けないという非民主的なものでした。市民が参加できた会場では、避難計画等に強い批判の声があがりました。また、ケーブルテレビ等による市民向けの説明や、視聴者による国への質問と回答もこれからのことです。立地自治体周辺への一方的な説明ですらできていないのに国民の理解が進んだなどと、とうてい言えるはずがありません。世論の大半は原発にも再稼働にも賛成していません。
先の判決は、人格権に勝るものはなく、これと経済的損得を同列に論じることはできないと断じています。高浜町長は、過疎と向き合いながらも決して原発による「恩恵」を求めない京都府民や滋賀県民の声を聴くべきです。
再稼働を高浜町長や福井県知事だけで決めて、過酷事故が起きれば京都・滋賀の隣接市町をたんに避難の通路とみなす傲慢な姿勢が許されるでしょうか。ここに暮らす住民や避難先市民のくらしと意思は羽よりも軽いのでしょうか。
高い線量で被ばくしたまま、緩い基準のもとで除染されずに避難する高浜町民も、持ち込まれる放射能によって2次被ばくする避難先住民の健康も、町長は考慮しなかったのでしょうか。
避難の足となるバスの確保や要援護者の避難計画に実効性がないこと、広域避難先の多くは災害危険区域にあること、琵琶湖が汚染されれば関西1,400万人に甚大な影響が及ぶことなど、様々な指摘を真摯に受け止めず再稼働に同意した高浜町長に抗議し、あくまで再稼働を許さない近隣住民や広域避難先住民の不退転の決意をここに表明します。
そして、周辺住民の生命や暮らしに対し、また、伊根町の船宿(ふなやど)や南丹市の茅ぶき住宅群など、放射能汚染によって失われる重要歴史的建造物群をもつ市町や有数の世界遺産(申請中の天橋立を含む)を60キロ圏に持つ市町が、かけがえのない資産を喪失することに対して高浜町長はどのように責任を取るのか、取れるのか、公に説明するようあわせて求めます。
2015年12月3日
京都府下の30キロ圏市町住民有志
(伊根町・舞鶴市・宮津市・綾部市・京丹波町・南丹市・福知山市・京都市民有志)
避難計画を案ずる関西連絡会(広域避難先である関西一円の市民)
連絡先:原発なしで暮らしたい丹波の会(南丹市園部町船岡藁無)
グリーン・アクション(京都市左京区田中関田町22-75-103 TEL: 075-701-7223)
美浜の会(大阪市北区西天満4-3-3星光ビル3階 TEL:06-6367-6580 )