集団的自衛権問題研究会 News&Review 特別版 第28号(集中質疑録) |
【集団的自衛権問題研究会 News&Review :特別版 第28号】 [転送・転載歓迎]
(2015年8月22日)
8月21日に行われた参議院特別委員会の集中質疑のダイジェストをお送りします。全体で3時間と短めの質疑でした。
冒頭質疑に立った猪口邦子議員は、かつて軍縮大使として「日本の武器輸出三原則はモラルハイグラウンド(道義的高み)」と誇っていた人ですが、安倍政権がそれを投げ捨てたことにはだんまり。質問は、岸信介氏の発言を引用するなど安倍首相を持ち上げることに終始しました。
そして、蓮舫議員の質疑の場面で、またしても安倍首相によるヤジが飛び出しました。「そんなことどうでもいいじゃん」と。すぐに撤回しましたが、「どうでもいいとは言っていないが」など言い訳がましく、見苦しい態度でした。いったい何度繰り返せばわかるのでしょうか。
次回は25日(火)の9時から17時まで、昼休憩をはさんでの約7時間コースで、安倍首相出席、NHKの中継が入る集中質疑が予定されています。質疑者は未確定です。また、24日(月)には参議院の予算委員会の集中質疑が行われます。引き続き注目と監視をしていきましょう。
【資料】参議院安保法制特別委員会(計45人)メンバーの要請先一覧
http://www.sjmk.org/?page_id=349
※FAX、電話での要請にお役立てください!
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【8月21日(金)参議院特別委員会 集中質疑ダイジェスト】
※13時~16時、首相出席、NHK中継あり
ネット中継アーカイブ
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php
※カレンダーの日付(21日)をクリックしてご覧ください。
◆猪口邦子(自民)
「平和安全法制は日本の平和を守り、侵略を未然に防ぎ、万が一でも日本を攻撃することは不毛だと思わせるものだ」
安倍「相手の気持ちになることが必要だ。すき間があれば我が国が攻撃されるハードルは低くなる」
猪口「これから一年、豊かな外交の舞台が続く。総理には自らの優れた対外発信力を生かして、日本を取り巻く外交環境を改善してほしい」
◆蓮舫(民主)
「武藤貴也議員の離党に際して、事実確認はしたのか?」
安倍「その立場にはない。党に関しては幹事長が責任を持ち対応する」
蓮舫「武藤議員のケースは消費者庁が盛んに注意喚起している未公開株購入トラブルに当たるか?」
山口俊一消費者担当相「週刊誌しか見ておらずコメントできない」
蓮舫「総理は礒崎補佐官は更迭しない。面倒な議員は辞めさせ、仲間は守りぬく」
◆蓮舫
「(自衛隊法改正案の米軍等他国軍の武器等防護について)米軍のステルス戦闘機や全ての戦闘機も自衛官が守れるのか?」
中谷「それも可能だ」
蓮舫「原子力空母も守れるのか?」
中谷「日本の防衛に資する活動をしているという限定の中で判断していく」
蓮舫「自衛官は守っている艦船に飛来した対艦ミサイルを迎撃できるか?」
中谷「戦闘行為の一環ならできない。不測の事態で確認できない場合、戦闘行為でないならできる」
蓮舫「戦闘行為じゃないミサイルはどうやって飛んでくるか?」
中谷「国際的な武力紛争が発生しておらず周囲に兆候もない中で突発的な戦闘行為の発生は想定されない。テロリストや不審船がミサイルを使う場合は対処できる」
◆蓮舫
「自衛隊法改正案の武器等防護の主語は「自衛官」だ。自衛隊法89条2項の自衛官が武器使用を判断する規定は準用されるか?」
中谷「条文上は自衛官だが、自衛隊が組織行動を本旨とする特性上、指揮官が判断する」
蓮舫「今の答弁は条文に一言も書かれていない。法案の不備だ」
◆蓮舫
「米軍の空母を警護するとなると潜水艦からの魚雷や戦略ミサイルも撃ち返すことになる。相手から見たら外形的に集団的自衛権の行使に映るのではないか?」
中谷「無限定ではない。武力攻撃に至らない侵害から防護するための極めて受動的かつ限定的な必要最小限の行動だ」
◆蓮舫議員の質問に対して、中谷大臣がいわゆる「野呂田6原則」を「大森6事例」と間違えたことに対して、蓮舫議員が「混同しているから時計を止めて整理を」と発言。それに対して安倍首相が「そんなことどうでもいいじゃん」とヤジ。紛糾後、首相は言い訳しながら「着席からの発言は撤回する」と表明した。
◆蓮舫
「10本の法案をまとめたから混乱する。「切れ目がない」でなく「歯止めがない」のだ」「70年目の夏に無理して集団的自衛権の行使を優先すべきではなく、平和主義を守り抜き、失敗したアベノミクスに苦しむ国民を守るべきだ」
◆小池晃(共産)
「中谷大臣は指示して3ヶ月も内容を把握せず、「国会審議が第一」と答弁しながら、「検討ではなく分析・研究だ」と開き直っている。こんなデタラメな言い逃れを許すのか?」
安倍「必要な分析・研究は当然だ。大臣の指示の範囲内であり、問題があるとは全く考えていない」
小池「自衛隊は一省庁ではなく実力組織だ。独走させてはならない。総理が「問題ない」と認めたのは、この文書と同じ立場に立ち、国民と国会を愚弄するものだ」
◆小池晃
「6月の衆議院での質疑で、「武器等防護でROE(部隊行動基準)を改定するのか?」との宮本徹議員の問いに防衛省は「お答えは控える」と答弁。しかし、内部文書には「策定する」と書かれている」
中谷「施行に関して必要な分析・研究に際して、ROEの策定が必要ではないかと認識したのだろう」
小池「3ヶ月知らないでシビリアンコントロールができているとは、笑わせるんじゃないよという話だ。「(ROEの)整備を行うことが必要」と書かれており、米軍とROEを共有するのは明らかだ」
◆小池晃
「文書には「軍軍間の調整所」とある。総理は自衛隊が軍と自認するのを良しとするのか?」
安倍「あくまで便宜的な表現で問題があるとは考えていない」
小池「憲法で軍を持たないという国の首相が「便宜的」だと。総理は2月に「我が軍」と言った。憲法無視であり、自衛隊内でも憲法無視の議論が行われている」
◆小池晃
「圧倒的情報量を持つのは米軍だ。柳澤協二氏は参考人質疑で「米艦防護でも米軍の情報ネットワークをもとに動かざるを得ない。より従属を深めていく」と述べた。自衛隊が平時から共同司令部のもとに米軍の指揮下に入ることだ」
中谷「「ミリタリー・トゥ・ミリタリー」は民主党政権次代に前原外相も使っていた。それぞれの主体的判断で国内法令に従って行うもので、米軍の指揮下に入るのは考えられない」
◆小池晃
「文書に書かれた南スーダンPKOでの任務追加の議論についても、国会で一切説明がない。総理は「国民に丁寧に説明する」と言うが丁寧に説明したのは自衛隊内だけだ。まさに自衛隊が米軍と肩を並べて世界中で戦争参加する中身が極めて明瞭になった。東京新聞は社説で「実力組織の暴走はあってはならない」と書いた」
安倍「その通りだ」
小池「大臣が指示しながら3ヶ月も結果を知らずに丸投げ。中谷大臣と総理の責任は重大だ。責任者である河野克俊統合幕僚長の証人喚問を求める」
◆山本太郎(生活)
「国民の理解は深まったか?」
安倍「まだまだだ。誤解もある」
山本「総理は8月10日に仕事を終えて山梨の別荘へ。11日に本委員会で審議。おかしくないか?「誰が延長したのか」のヤジが出たがその通りだ。今休んでもらっては困る。衆議院での総理の出席率は約33%。あり得ない。「理解を深めるために自ら説明する」は総理の言葉だ。毎回出てくるべきだ。週3回ほどの審議に1日以上は参加する意思はあるか?」
安倍「委員会運営は委員が決めること。求めには応じる」
山本「最高責任者の気概を感じない。総理の出席時間をもっと取るよう理事会で協議を」
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<特別版 第27号(8月19日の参院一般質疑録はこちら>
http://www.sjmk.org/?page_id=388
<特別版 第26号(8月11日の参院一般質疑録はこちら>
http://www.sjmk.org/?page_id=385
<特別版 第25号(8月5日の参院一般質疑録はこちら>
http://www.sjmk.org/?page_id=382
<特別版 第24号(8月4日の参院集中質疑録はこちら>
http://www.sjmk.org/?page_id=378
<特別版 第23号(8月3日の礒崎補佐官参考人質疑&一般質疑録はこちら>
http://www.sjmk.org/?page_id=375
<特別版 第22号(7月29日の参院集中質疑録はこちら>
http://www.sjmk.org/?page_id=371
<特別版 第21号(7月28日の参院集中質疑録はこちら>
http://www.sjmk.org/?page_id=357
<特別版 第20号(7月27日の参院本会議質疑録はこちら>
http://www.sjmk.org/?page_id=354
<特別版 第19号(7月17日の衆院強行採決抗議声明はこちら>
http://www.sjmk.org/?page_id=359
<第18号以前のバックナンバーはこちらからご覧ください>
http://www.sjmk.org/?page_id=11
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News&Review特別版 編集長:杉原浩司
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◇『世界』8月号に当研究会の論考が掲載されています。
ぜひご一読ください。
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◇『世界』7月号、6月号にも論考が掲載されました。
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