集団的自衛権問題研究会 News&Review 特別版 第4号(ダイジェスト部分) |
【集団的自衛権問題研究会 News&Review :特別版 第4号】
(2015年6月10日) [転送・転載歓迎]
※ダイジェスト部分のみ抜粋して掲載。
「安全保障法制」の審議が5日ぶりに再開されました。憲法審査会での全ての参考人による「違憲」発言を受けて出された政府見解や、菅官房長官による「違憲でないと言うたくさんの著名な憲法学者」発言などをめぐり、何度も速記が止まる激しい議論が交わされました。ダイジェストをまとめましたので、ご参照ください。
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【6月10日(水)「安全保障法制」審議ダイジェスト】
一般質疑(計7時間、首相出席なし、NHK中継なし)
衆議院インターネット中継 http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php
※右のカレンダーの日付をクリックすると、アーカイブが見られます。
◆盛山正仁(自民)
「機雷掃海に十分な要員と装備はあるか? また、任務に携わる隊員に十分な特別手当を保障すべきだ」。
左藤防衛副大臣「掃海艇27隻は世界有数規模。平成20年度から木製から強化プラスチックに変更。平成25年度から機雷探知の範囲も2.5倍に拡大。自走式機雷用の弾薬も装備」「平成23、24、26年のペルシャ湾での多国間掃海訓練にも参加した」「勤務形態や特性に考慮して待遇を検討していく」。
◆辻元清美(民主)
「先日の中谷大臣の「現在の憲法をいかにこの法案に適用させていけばいいのか」との発言は立憲主義に反する。撤回してください」。
中谷「趣旨を正確に伝えられなかったので、撤回して修正したい」。
辻元「この間の一連のやり方は立憲主義に基づく日本へのクーデターのように見える」。
◆辻元清美(民主)
「昭和47年政府見解の(1)(2)を維持し(3)の結論を安保環境の変化を理由に「当てはめ」で変えたのなら、安保環境が良くなれば元に戻せるのか?」。
横畠法制局長官「我が国への攻撃以外に国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される可能性がないという環境になればあり得る」。
辻元「そういうことが法的安定性がないということではないか」。
◆辻元清美(民主)
「全く違憲じゃないという著名な学者をいっぱいあげて下さい」。
菅官房長官「個別にあげるのは控えるが、百地(章)先生、長尾(一紘)先生、西(修)先生など」。
辻元「政府がいっぱいいると示せないなら法案を撤回すべき」。
菅「わたくし、数じゃないと思いますよ」。
◆辻元清美(民主)
「違憲判決が出たら、装備や訓練も含めて元に戻すんですね?」。
中谷「法治国家なので司法の判断に従う」。
辻元「ガイドラインもやり直すか?」。
中谷「仮定の判断は差し控える」。
◆寺田学(民主)
「違憲判決が出たら、今までの慣例と同様に、政府としてまず法の執行を停止するのか?」。
中谷「適切に対応する」を繰り返すばかり。
◆緒方林太郎(民主)
「北朝鮮の核実験や台湾海峡での1996年のような緊張した事態と、ホルムズ海峡の事態と、どちらが我が国にとってより深刻な事態と考えるか? 過去に両者は「周辺事態に当たらない」との政府答弁もあるが?」。
中谷「個別の事態に応じて総合的に判断する」。
◆大串博志(民主)
「昭和47年見解を決裁した当時の吉國内閣法制局長官は「我が国が侵略されて(初めて自衛の措置をとる)」と3回も発言している。強い傍証だ。これを覆す事実関係はあるか?」。
横畠「それはまさにその当時の認識。今般、事実認識に変化がある」。
◆後藤祐一(民主)
「集団的自衛権と個別的自衛権は重なり合うことはないか?」。
中谷「ございません」。
後藤「「数量ではなく目的が超えているので集団的自衛権の行使は違憲」との平成11年の大森法制局長官の有名な答弁がある。この答弁は維持されているか?」。
横畠「「我が国の防衛に限る」との目的に収まっており、矛盾しない。維持している」。
後藤「昭和56年の稲葉衆院議員への答弁書にある「集団的自衛権の行使は我が国防衛のための必要最小限度を超えるもので許されない」との趣旨の有名な見解は維持するのか?」。
横畠「フルセットの集団的自衛権に関するものとして維持している」。
後藤「両者の答弁を引き継ぐのか政府見解を出してほしい」。
◆高井崇志(維新)
「せめて「違憲でない」と言う学者が何人くらいいるか、答えてほしい」。
菅官房長官「私が知っているだけで10人程度おります」。
高井「極めて少数だ」。
菅「いろいろな学識経験者の意見を聞いた」。
◆高井崇志(維新)
「歴代法制局長官の多くが違憲だと批判していることをどう考えるか?」。
横畠「元長官の方々の個人としての発言にいちいちコメントしない」。
高井「法制局の皆さんがこの話を聞いたときに、反対する意見はなかったのか?」。
横畠「反対する意見はありません」。
高井「最高裁で違憲判決が出ないという自信はあるのか?」。
横畠「ご指摘の通りです」。
◆宮本徹(共産)
「昨日の政府見解に「安保環境が根本的に変容」とあるが、かつてソ連はもっと多くの核ミサイルを日本に向けていた。何をもって、いつから根本的に変容したのか?」。
中谷「インターネットや人工衛星ができ、科学技術が発展し、(ムニャムニャ)」。
宮本「それが基準か?!」。
中谷大臣は結局、明確には回答できず。
◆宮本徹(共産)
「他国に対する武力攻撃によって国の存立が脅かされるようになった例はあるのか?」。
中谷「一概に言えない。絶えず国際社会は対立、紛争を繰り返してきた」「事前に聞いてないので調べて対応したい」。
宮本「調べて提出を。出せなければ立法事実がなく法案は出せない」。
◆宮本徹(共産)
「砂川事件判決は集団的自衛権について何か言っているか?」。
横畠「ふれているわけではありません」。
宮本「政府見解で引用されているのは砂川判決の傍論部分に過ぎない」「一方で、イラク派遣の違憲判決を政府は「傍論だ」と批判した。これは二枚舌、ご都合主義だ」。
◆宮本徹(共産)
「自衛隊による他国軍の武器等防護の「武器」とはどんな武器か?」。
黒江防衛政策局長「武器、弾薬、火薬、船舶、航空機等々(=全て含む)」。
宮本「米軍から要請がある場合、そのための自衛隊部隊を派遣するのか?」。
黒江「部隊同士の防護もあれば、必要な部隊を派遣する場合もある」。
◆宮本徹(共産)
「自衛隊による武器等防護の対象となる米軍は、世界中で情報収集や警戒監視をしている。防護の範囲は地理的に無限定か?」。
黒江防衛政策局長「要請があり、我が国防衛に資するかの要件で判断する。地域では判断しない」。
◆宮本徹(共産)
「自衛隊による他国軍の武器等防護で、米軍の空母は警護できるか?」。
黒江防衛政策局長「例外は特に設けていない」。
宮本「武器等防護は"集団的自衛権の裏口入学"ではないか?!」「防護している自衛隊が攻撃を受ければ反撃して武力行使することになる。集団的自衛権がなし崩しで行使される」。
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<特別版 第3号(政府見解等を掲載)はこちら>
http://www.sjmk.org/?page_id=207
<特別版 第2号(6月5日の審議録)はこちら>
http://www.sjmk.org/?page_id=187
<特別版 第1号(6月1日の審議録)はこちら>
http://www.sjmk.org/?page_id=136
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発行:集団的自衛権問題研究会
代表・発行人:川崎哲
News&Review特別版 編集長:杉原浩司
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◇集団的自衛権問題研究会News & Review
第9号の内容
● 歯止め無き対米支援法制は「国民を守る」か(川崎哲)
● 新「日米ガイドライン」は何を狙うか(吉田遼)
http://www.sjmk.org/?p=130
◇『世界』7月号、6月号に当研究会の論考が掲載されました。
http://www.sjmk.org/?p=194
http://www.sjmk.org/?p=118